EI(Emotional Intelligence)理論は、1990年に米国イェール大学心理学部教授(現イェール大学学長)のピーター・サロベイ博士と米国ニューハンプシャー大学心理学部教授ジョン・メイヤー博士が提唱したものです。1996年にタイム誌の記者であったダニエル・ゴールマン氏の著書「EQ こころの知能指数」が世界的にベストセラーとなり、EQ(Emotional Intelligence Quotient)という言葉が広まりました(ちなみに、IQと類似する概念としてのわかりやすさから日本では広くEQと呼ばれていますが、発祥地である米国ではEIと称されることが普通です。弊社では語義に応じて、知性を意味する場合は「EI」、指数を意味する場合は「EQ」を用います)。
サロベイ博士とメイヤー博士は、EIについて以下のように定義しています。
「EIとは、情動を知覚し、思考の助けとなるよう情動を生み出し、情動や情動的知識を理解し、そして情動を管理する能力である」
最新のEI理論では、EIは次の4つの領域からなると考えられています。
- 感情の識別:自分自身や自分の周囲の人がどのように感じているかを識別する能力
- 感情の利用:状況の判断や課題の達成のために自分の感情を役立てる能力
- 感情の理解:感情がどのような原因から起こるのかを理解し、一定の感情と状況を結びつけることができる能力
- 感情の調整:感情的になった場面で、その状態を改善するためにとりうる最善の行動は何かを理解し、その行動をとることができる能力
ここで記したように、EIとは能力です。したがって、他の能力(例えば運動能力)と同様、努力・学習により伸ばすことができますし、あまり使わないと退化していきます。高いEQを持つ人は、保有するスキル・知識を安定的に発揮できる、環境の変化にすばやく対応できる等の特性を持ち、結果としてよりよい成果をあげる可能性が高いと考えられます。